Harry's diary

"はりー"こと松村武宏の極私的で内容がthinなブログです。

グリーゼ581系の惑星は「黒点」が生み出した幻影だった?

すべて幻だったのか…?

ナショジオにこんな記事が出ていた。

ニュース - 科学&宇宙 - グリーゼ581の系外惑星は幻だった - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト(ナショジオ)

グリーゼ581系で見つかったとされていた6つの系外惑星(グリーゼ581b/c/d/e/f/g)のうち、581dと581gについては、主星(グリーゼ581)の黒点活動によるスペクトルの変動を、惑星によるドップラー変動と解釈してしまったことによる「幻」だったとする論文。

そもそも系外惑星の見つけ方には幾つが種類があって、グリーゼ581の系外惑星観測で用いられたのは「惑星の重力によって主星がごくわずかにふらつく様子」を観測する「ドップラー法」。救急車が近付くと「ピーポーピーポー」、遠ざかると「ペーポーペーポー」なんて音が変わるアレと同じ理屈。音も光も「波」なので、星の光にもドップラー効果が生じるわけだ。

主星の光がほんのわずかに青色寄り(こっちに近づく)になったり赤色寄り(向こうに遠ざかる)になる強さや周期を測定することで、その変化を生み出している惑星の重さと公転周期が求まる。

ところが、特に581gの存在を示すとされた主星の光の変化量はごくわずかで、以前からその存在に疑問が呈されていた。恒星に対して惑星は非常に小さいからドップラー効果による変化量はもともとわずかなものなんだけど、だとしてもわずかすぎだった様子。今回の論文では、グリーゼ581の表面に生じている黒点の影響を加味して観測データを分析しなおしたところ、581dと581gを示す変位量は消えてしまったということらしい。

それだけ系外惑星探しは難しいということなんだよなあ…。

記事の最後のほうを見るとぜんぶ幻みたいに思えるんだけど、iOSアプリの「Exoplanet」を見るかぎり581b/581c/581eの3つが残っていて、d/f/gはデータベースから消されていた。まだ結論は出し切れていないってことなのかな。

グリーゼ581の教訓

どこかで鳴ってる救急車の音を聞いて、その音の高さのわずかな変化から「あそこのコンビニ前の交差点を右に曲がったか」「パイパスの交差点に入るから減速したな」走行経路を分析するようなもので、おまけに複数の惑星を持つ星ともなれば同時に数台の救急車の音を聞き分けてそれぞれのコースを割り出すような感覚だと思っておけば、系外惑星を探すというのがどれだけ難しいことかがわかるかもしれない。

今回の件からは、救急車がこっちを向いたり反対側を向いたりするだけでも音は変化するものだから、それがコース変更によるものなのかどうかはもっと慎重に判断する必要がある、というところだろうか…。